2025年の転職によせて
3回目の転職をして、2025/09/01から新しい職場で働いている。
本当は8月中に転職のときに考えてたことをまとめようと思ったけど、思った以上に時間がなかった。あとなんかそういう気持ちにならなかったとかもある。なんでだろうな。「今回の転職のことを書く」というよりは、それを包括して、もうちょっと広めに書こうかと思っている。
読む人に価値があるかどうかは微妙なので、「2025年の転職」に絞った話題は、有料note記事として書いた。実用的なものを求めるのであれば、こちらを買ってください。
昔の転職の記録
1回目の転職で書いたもの。
今となってはこの記事の内容に全然価値を感じないが、それでも当時こんなんだったんだ、と自分でも忘れていたことが書かれていて、大変だったんだねえと人事のように思った。この記事自体ちょっと論点がバラけてるし、内容的にちょっと微妙な気がする。
仕事もそれなりに忙しかったので、残業40時間(休日出社もあり)くらいしながら、深夜3時くらいまでガリガリコーディングして、3時間だけ寝てまた翌日出社する、みたいな日もありました。
この辺はちょっとエモい気持ちになった。今の俺ももっとがんばんなきゃなという。
2回目の転職。
この記事はだいぶクールだけど、その分今読んでもそんなに違和感がない。2回目の転職は基本的にiOSエンジニアとしてのキャリアアップ的な性質だったので、キャリアチェンジだった1回目の転職に比べると、そんなもんだろうと思う。それでも書いておいたのは非常に良かった。本当に気持ちというのは時間が経つと失われてしまう。
自己成就性
過去の記事読んでて思ったが、割と当時書いていたことが実現している、というのを感じた。
体感的には自分の思うようにならない人生を歩んでいると思っていたが、実際はコード書いてメシ食えるようになったし、大きめのカンファレンスで登壇するぐらいにはなったし、個人のアイディアでストアにアプリ出したり、結果はともかくとしてクリエイティブなこと(小説、音楽、動画づくり)に真剣に向き合ったり。
syrup16gの「夢」という曲に、
夢は何となく 叶わないもんだと思ってきたけど 何てことはない 俺は夢を全て叶えてしまった
という歌詞があるけど、そんな気持ち。
基本的にはやりたいことはやれた。けど結果としては全然大きなリターンが得られてないから、ここからどうしようという状態と言えるかな。やりたいことやって、普通のサラリーマンぐらい食えたら上出来じゃんって考えもあるんだけど、ホームランを打ちたいという気持ちは消えずにある。
書いたことの自己成就性というのが存在するのを感じる。
1社目のときは「3年以内にITのプロになる」というスローガンを掲げていた。こういうスローガン掲げるのなんか好きなんだよな。これは内定取れなかったときに、自分に金稼ぐための武器がなさすぎると痛感して、ITという分野でプロフェッショナルになって、もうあんな思いはしないぞ!的な目標。具体的には会社でがんばるのとIPA系の資格を取った。目標では3年以内にSC(情報セキュリティ)、DB(データベーススペシャリスト)、 NW(ネットワークスペシャリスト)を取るつもりだったが、SCとDBまでが取れた。NWは一度受けたが落ちて、そっから再受験していない。資格自体はマジで意味ないけど、基礎教養という点ではまあ勉強しないよりはマシ、ぐらい。なんかの役に立つときが来るのか来ないのか。
iOSエンジニアになってからは、「Googleに入れるようなエンジニアになる」という目標だった。けどGoogle自体が変質してしまって、evilな存在になって、かつてのGoogleのイメージとちょっと違うので、仮に今のGoogleに入れてもなあ、みたいなのはある。けど受験勉強でとりあえず東大を目指すぐらいの気持ちで。
要はちゃんとしたソフトウェアエンジニアになる、というのが目標で、それは実現できたと思う。外資ソフトウェア企業入るんだったら、英語とか競技プログラミング力とか色々足りなさそう。でもそっちの道に行くのがいいのか?とも思う。可能であれば日本で生活し続けたいのと、会社のコアなところに入りこめないで、あくまで開発力としてのジョインになるので、給料だけ見ると圧倒的だろうけど、仕事としてどうなの?などと考える。
あと2019年のイメージだと、iOS開発極めたら、次に別のジャンルやって、ある程度フルスタックになって……みたいなことを思っていたが、iOS開発極めるのが2〜3年どころではやっと一人前ぐらいの感覚で、5年ぐらいやらないとダメという結論に達して、結局丸6年iOSネイティブ開発に従事することになった。
ハイレベルなフルスタックというのは難しくて、仮にiOS開発・Android開発・Webフロント・Webバックエンド(本当はもっと細分化されるから)でそれぞれ専門性つけるために3年やるとする。単純計算で12年かかるわけだけど、じゃあ12年後に9年前までやっていたiOS開発の専門性ってどこまで役に立つ?となると大いに疑問がある。
あと「ITと小説」っていうのが当初のテーマだったな。小説に関しては色々試行錯誤したけど、結局ダメだった。今ふりかえると当時書いてたものがダメな理由はよくわかるけど、当時は自分なりに価値あるものを書いてるつもりではいた。
結局、立てた目標は時間かけて実現したり、形を変えて実現したり、現実的にムリだから諦めたりという結果になっている。至極当たり前のことではあるか。でも、2010年代後半に抱いていた「金は稼げるようになったけど、本当にやりたいことができていない」みたいな感覚は全然なくなった。どういう状態なんだろうなこれ。「やりたいことはできている。金は人並みには稼げている」が感覚には近い。
「犬も歩けば棒に当たる」方式の転職
思ったより評価してもらえた、というのが正直なところ。
スキル的にはミドル〜シニアレベルになっており、7年目のiOSエンジニアとして、一定の評価はもらえた。
ただ入り口は評価してもらえても、実際面接受けてみると弾かれたりはちょいちょいあった。
そもそも3社目がプロダクト的にはハマっていたので、じゃあ次に熱中できるプロダクトとなるとなかなか難しさがあった。そのせいで2024年とかは強い停滞感ありながら残ってしまったし、辞める直前まであんまりいいとこが見つからなかった。しかし2025/05/20にマルチアカウントの機能出せて、これ以上大きい改善はもうできないんだろうなという感じがしたのと、その他の要因もあって、次決めないまま辞めることにした。6月は引き継ぎ期間で社内ニートみたいな生活。この月にもっとアクティブに色々やればよかったなという反省は今ある。変なマジメさがあって、引き継ぎ期間中途半端に働いてしまうんだよな。
最終出社日に「会社辞めます」ツイートをしたら、思った以上の反応があって、声かけてくれた人には全て話を聞いた。これは6月までにやっていた求人サイト上から下まで眺める行為よりだいぶ良かった。
今回の転職活動は「犬も歩けば棒に当たる」方式の転職だった。本当にゼロベースで、次の職場を探した。結果として壮絶なミスマッチなんかもあったが、それはそれで。最終的には21社カジュアル面談している。
応募先を増やすのにめちゃくちゃ苦労してしまった。有休消化 + 1ヶ月の無職期間をつくることは決めていて、本当に納得する職が見つからなかったら更に無職やるぐらいの覚悟だった。実際は7月後半ぐらいにはまあまあ焦りあったけども。
今回の転職活動では、大変だったけど、単に次の職場を決めるだけでなく、人間的なつながりができて、あと視野が広がった。メシ食わせてもらったり、イベント参加させてもらったり、楽しかったこともあった。
フリーランス・スタートアップ・大企業の内製部隊など、今まで考えたことなかった選択肢があることに気づいた。
転職活動する中での変遷
iOSエンジニアとしてのキャリアの課題感は下記でまとめていて、転職活動中もそんなに変わらなかった。
最初は動画サービスのiOSエンジニアのポディションをなんとなく探していた。でも応募しても書類通らなかったのと、動画サービスそんなやりたい?という感じになった。
会社辞めると決めたときの転職先に求めるものは下記だった。
- チャレンジ要素があるか
- プロダクトに対して燃えられるか
- その他
なんかでもこの基準で面接して喋ってても、自己矛盾が出るなと感じた。英語は別に自分でやったらええし、リード的役割も面接のときに確約されるもんでもなく、実力あれば勝手になるだろうし。
なんでだろうなーと本音ベースで2025/07/09に考え直して、一個の絵を描いた。

ちょっとこれあまりにもアーティストすぎるモチベーションだけど、結局のところ「すごいものつくって人に見せる」というのがやりたいこと。ただ会社員として働くので、好き勝手やるというのではなく、会社が求めている要求に答えながらになる。自分のつくるものと、会社の要求が上手くマッチするところで働く、つまりVibesが合うかどうか、というところに行き着いた。
この話自体は面接である会社にしたけど、微妙な反応で、落とされた。
つまり何がいけなかったのかというと、「1. チャレンジ要素があるか」「2. プロダクトに対して燃えられるか」という順で考えようとしてたけど、結局プロダクトを諦められてない自分がいたというところ。
そして更に難しいのが、プロダクト重視っつっても、フェーズがあって、安定フェーズに行くと保守運用化してしまって、やることがなくなってしまう。なので可能な限りアーリーな方に行くべきだけど、本気でゴリゴリのスタートアップだと会社員として所属する意味あるのか?になってしまう。あとある程度形になっていないと、プロダクトの良し悪しが判断できないというパラドックスがある。突き詰めていくと、自分で会社起こすのが究極の自己実現だけど、そこまではムリだなと思う。
結局100人前後ぐらいの規模(100〜1,000人)で、開発が活発そうなプロダクトに入れることを目指した。ちょっとだけ基準を幅広にして、強そうなプロダクト持っているところに10社ほど応募。iOSネイティブかクロスプラットフォームかはもうどっちでも良くなっていた。個人的にはもうWebでも良かったので2社ほど出したけど、そこはさすがにマッチングしなかった。
次のスローガンとアクション
それで次のスローガンだけども、「総合格闘技的に強くなる」というのを掲げている。
要はiOS開発だけでなくて、他のジャンルへの越境を進めてくということだけど、フルスタックとはまたちょっと違う感じもする。イメージ的には会社で何か新しいサービスやろうとなったときに、適切な技術選定ができる、というところ。モバイルで言えばネイティブでやるのか、クロスプラットフォームなのか、はたまたWebなのか。その辺の技術選定ができて、かつ実現できる。
あと会社で働く中でチーム的な動きを強めていく。それこそリード的な立場だったり、マネジメントっぽいことだったり。
技術的な広がり + 裏目標で組織貢献という感じかなあ。
Webフロントは個人開発でそこそこやって、ちょっとしたことだったらできると思うけど、実績ないと転職じゃやらせてもらえないのもわかったので、その辺を副業で補いたい。
副業はアーリースタートアップと関われる機会かつ本業と別の能力を使う場所、そして更にお金ももらえるということで、真剣に探そうと思う。ただ今の会社に慣れてからかな。早くても10月。でもあんまりダラダラするとこの気持ちが薄れて、また日常の重力に負けてしまうので、早めに動きたい。
具体的には今の会社ではFlutterをやっている。副業はとりあえずiOSネイティブ開発 x アーリースタートアップかな。候補が一社あるので、声をかけてみるつもり。iOS開発であれば役に立てると思う。React NativeかWebフロント(まあこれも結局Reactか)であわよくばあるといいんだけど、そもそも副業掛け持ちできるほど時間捻出できない気もするので、まずは高望みせずに一個やってみて、自分がどこまでやれるのかを見る。
加齢による焦り vs 能力的には全盛期かもという気持ち
去年ぐらいから加齢による焦りはめちゃくちゃ感じている。
だがしかし衰えはそんなに感じてなくて、肉体的にも精神的にもスキル的にも、今が全盛期なんじゃないかぐらいのコンディション。
かつてはやりたいと思っても、能力的にできないことが多かった。それが今では曲がりなりにもできる。行きたい場所は海外であっても行けるし、個人開発でアプリをリリースしてみたい!と思ったらすぐに出せる。
だからこそ今がんばらないと……と思う。
創作活動との折り合いをつける
ただ何に対してがんばるのか、はまだ迷いがある。
文章書いたり動画つくったりは相当好きで、好きだけど一切金を生まない。前職でもずっと直面してたけど、創作で金を生むというのはとても難しい。いくら業界が厳しくても、その時代時代で売れている何かはある。Adoとかもう名前あんまわからないアイドル(FRUITS ZIPPER)とか。今の映画だと「国宝」とか。小説やマンガはもはや何が流行ってるのかわからない。
今の俺は完全に日中コード書いて金もらって、夜はビール飲んで野球見たりお笑い見たり、たまに体動かしたり旅行したりするだけの存在と化した。それでも未練がましく創作ドメインの会社にいて、自分でも矛盾したことをやっているなと思った。
ここの折り合いをどうつけるかはまだ自分の中で答えが出ていない。
答えが出るという言葉
そういえば昔のJ-POPって良く「答えが見つからない」とか「答えが見つかった」とか「最初から答えはここにあったんだ(自分の胸を指さして)」とかあったけど、アホだなあと思っていた。
まあでも人生について悩んでいた事柄があるきっかけでスッと晴れて、自分の進むべき道が決まった、みたいな瞬間はあるときはある。
ただ俺の場合、性格上そこまで割り切れないタイプなので、だいたいどんなに強い決断でも、一縷の迷いは残るし、それが健全だとも思っている。そして大抵の決断は、ある瞬間に答えが降りてきて、道が開けるみたいなものではなくて、なんというか……もっと煮え切らないものであるように思う。映画やドラマの決断シーンに影響されすぎると、答えが出るまで待ってしまうのかもしれない。
正直なことを言えば、2022〜2024のプライベートで色々やったことの中で、何かいいものを生み出して、その方向に一気に行く……みたいな偶然を期待していた。書いた小説が評価されて話題になるとか、個人開発がめちゃくちゃ伸びるとか、あるいは働く中で「この分野は絶対に伸びる!」みたいな直感で新しい仕事を見つけるとか。そういうの。
結局のところ、今後自分がどういう方向に進んでいくべきか、明確な方針は決まっていない。ただ迷いの中で、なんらかのアクションしないと、いたずらに年食って終わりになってしまう。正解がどうかはマジでわからない。ただ間違ってる!と思ったら、そこから方向転換すれば良いから、とにかくアクションを起こそう、と思ったんだよな。そして動いたこと自体は絶対に間違ってないと思う。
無職期間でやったことを軽くまとめる
8月は完全無職期間だった。といっても転職活動がそれなりに時間と精神食ったので、そんなに余裕もなかった。特に開発面ではもうちょっとできたなと思う。個人開発でやりたいことあったんだけど、そこまで行けずに、手前のお勉強で終わってしまった感。
7, 8月完全仕事なくて、大学生の夏休みみたいだなと思った。でも結局面接あったり、パソコンでなんかしらの作業したりで、あんまり前職で働いてるときの感覚と変わらなかった。
それでも、人と会いまくる活動とカリフォルニア旅行は良かった。
人と会いまくる活動は、無職になったのを機に過去の知人に幅広く連絡した。トータル20人ぐらいと会った気がする。いや転職活動で会った人(面接以外)とかも混じってるな。まあでも人と会ったのは良かった。
特にコロナで人間関係一回切れてしまったので、コロナ前に仲良かった人とまた会えたのはすごく良かった。人によって色々状況違ったけど、基本的には元気に生きていた。孤立している生活をしている分、人間関係は大事にしないといけないなと再確認した。
8月後半はずっとカリフォルニア州にいた。ロサンゼルス→サンディエゴ→サンフランシスコというルート。それこそGoogle本社とApple本社もいった。サンディエゴでレンタカー借りて、サンフランシスコまで移動した。レンタカーの明細見たら、トータル1,000マイル走ったらしい。小さなトラブルはあったけど、基本的には上手くやれた。何より楽しかった。金はめちゃくちゃに飛んだけども、なんでもやれるような感覚になった。
ただ一人旅はもうやめよう、とも思った。
とりあえず目先のこと
9月のミッションはとにかく新しい会社に全力でキャッチアップすることが最優先。
あと「iOS開発の教科書」を書き上げる。これは土日使うことになるだろう。書きものでここまで進捗遅れることは人生あんまなかったかも。内容に悩んでいるとかじゃなくて、普通に全然執筆時間が取れなかった。転職活動が悪い。
イベントとしてはiOSDCがある。今年はプロポーザル出したけど通らなかったので、普通に参加するだけ。
(了)