攻撃的に休む戦略
高い成果を残したいですよね?
僕は残したいです。
これ読んでるのが学生さんだったら、大学受験でより高い偏差値をとりたいとか、部活の大会ですごいパフォーマンス残したいとか思うでしょう。プログラマーなら、いいソースコードを書きたいと思うし、営業なら高い営業成績を残したいと思うでしょう。
では、どうしましょうか?
みんな最初に考えるのは、短期集中型戦略です。「とにかく自分を追いこんで、限界まで働く」という戦略をとります。僕もかつてそうしていましたが、最近それがよくないことに気づいたので、まずそのことについて書きます。
短期集中型戦略では長期的に安定したパフォーマンスが出せない
短期集中型戦略は、短い期間で高い成果が上がるので、本人は万能感があります。しかも期間はだいたい数ヶ月や一年以内ぐらいなので、「ここまでやったら解放される」という安心感もあります。
僕のことを書くと、大学受験は間違えなく短期集中型戦略でしたし、社会人になってからも「コツコツやる」よりかは、短期間に全リソースを注ぐ方が好きでした。
しかし最近になって、その戦略に問題があると気づきました。
失敗に弱い
まず第一に短期集中戦略は失敗に弱いです。「あれだけ本気を出してやったのにダメだった」という挫折感は、心を折りにきます。
短期集中戦略は「たったこれだけの期間ですごいことをした」という万能感、あるいは自分が天才なんじゃないかという感覚に支えられています。
そのハシゴがなくなると、「Nヶ月で○○大学に合格した天才」「N日でミリオンセールスの楽曲をつくっちゃう天才」という評価が逆転して、「Nヶ月で○○大学に合格できると思ってたけど結局一浪して入った凡人」「N日でつくった曲はリリースしたら全然売れなかった。俺ってもしかして才能ないのか……?」と自己否定につながります。
変更に弱い
また短期集中型は短期集中故に外部環境の変更に弱いとも言えます。
期間が十分に短ければ、変更が入る余地は少ないんですが、変化が多い環境だとルールが根底から変わることがあります。たとえばIT系のスタートアップで、三ヶ月後にリリースしようと何日も徹夜してたサービスが、二ヶ月たったときに大手の競合が似たようなサービスを出して広まってしまう、なーんてこともあるでしょう。
バーンアウト問題
個人的に一番の問題だと思っているのはこれです。短期集中には反動があって、程度の差はあれバーンアウト(燃え尽き症候群)を招きます。
健康に悪い
バーンアウト問題とかなりかぶりますが、健康に悪いというのも短期集中戦略の大きなデメリットです。睡眠時間を限界まで削ってみたり、食事を雑に済ませたりすることで、健康が蝕まれていきます。
健康のマイナス分が体力/知力/集中力の低下になって、結果生産性を下げて、短期集中型をとったのに、思ったほど成果が出ない場合もあるし、成果を出したとしても、そのマイナス分はその後の人生に負債としてついてきます。
長期で安定したパフォーマンスを出したい
短期集中型のデメリットをつらつら書いてきましたが、では長期で安定したパフォーマンスを出すためには、どうしたらいいのでしょうか?
キーになるのは、適切に休みをとることです。
アメリカのラッパーのEminemの近年のレコーディングスタイルが参考になります。
Akonがエミネムのスタジオでの様子について語る。「彼はサラリーマンのようなスケジュールで動いてる」 | HIP HOP DNA 製作中はスタジオに籠るアーティストが多いなか、エミネムはなんときっかり「9時〜17時」というサラリーマンのようなスケジュー hiphopdna.jp
彼は9時 - 17時というスケジュールをきっちり守って、アルバムを仕上げているそうです。2018年2020年にそれぞれ一枚ずつアルバムをリリースできてますし、長期的に安定したパフォーマンスを出せていると言えるのではないでしょうか。
どこまで休むか
2019年に上記のEminemの記事に触れて、自分のワークスタイルを見直すことにしました。
「たくさん成果を残す」ということだけを考えると、もし自分がロボットだったら、24時間365日稼働し続けるのがベストでしょう。ただ人間なので、どれだけストイックな人間でも睡眠や食事をゼロにはできないでしょう。外資系金融やコンサルといった人種は、休みを最小限にする戦略をとりがちです。それが良くないという話は散々書きましたが、現実問題どの程度休むのが最適なのでしょうか?
当たり前ですが、休みが大事だよと言っても、たとえば週一で数時間働くだけでは何もアウトプット出せないでしょう。
適切な休みの長さは、はっきり言って個人差があります。仕事の内容でも変わるでしょうし、その人間の体力にも依存するでしょう。けれど一つの目安になるのが、1日8時間労働 × 5日 + 休日 × 2日という現代人がたどりついた標準的な労働スケジュールです。
最初はこのスケジュールを前提にして一週間やってみて、労働時間を長くしたり短くしたりして調整していくことで、自分にとって一番安定している水準を探っていくのが良さそうです。
僕の理想の週間スケジュールは、1日6時間労働 × 5日 + 休日 × 2日です。ZOZOの前澤さんもこんなスケジュールを提唱していた気がします。実際はもうちょっと働いていますが、生産性MAXの状態で働いている時間というのは一日6時間ぐらいで、あとは落ちてくので、可能ならば6時間働いたらそこで打ち切ってしまいたいと思っています。
攻撃的に休む戦略
ここからが本題です。
2020年入ってから、休みというものに対しての意識が高くなりました。前職の金融系システム会社にいたときは、「ワークハード・ライフハード」みたいな感じで、プロジェクトの繁忙期はバタバタ働いて、谷間で長期休暇とってどっか旅行してリフレッシュ! みたいな感じでした。
今は「攻撃的に休む」という戦略を採用しています。
これはどういうことかというと、「疲れる前に休む」ということです。体や心の疲労を感じたら、すぐに休んでしまう。
これは高速道路を車で走るときの休み方に似ています。何時間か車を走らせたら、疲れていなくても、SAで休憩をとりますね? それを日常的にやるのが攻撃的に休む戦略です。
こまめな休息を挟みつつ、週30〜40時間の労働時間で全力を注ぎ、土日はしっかり休み、四半期に一度ぐらいは長めの休みをとる、というのが僕の今年のワークスタイルになっています。
疲労感が重い状態で土日に入ったときは、意識的に「完全オフ」の日をつくるようにしました。以前は休日を潰す罪悪感があって、休みといってもなんか無理くりイベントを入れていた時期もあったんですが、「完全オフ」とした日は、もう家で寝ながらYouTube見て、飽きたらちょっとだけ本読んで、日が暮れてきたらご飯食べて寝る、みたいにしています。
常に元気な状態を保つ
「自分の機嫌は自分でとる」という言葉が一時期流行りましたが、自分自身で自分が元気な状態を常に保てるように行動すべきだと思います。
元気な状態を保ちながら仕事していると、以下のような自分の変化を感じます。
ポジティブになる
単純に考え方がポジティブになりました。考えてみれば当たり前なんですが、同じ仕事抱えている人でも、体力の限界まで働いている人と、上手く休息とって元気いっぱいな人で、感じ方が変わります。
仕事だけではなく、遊びにおいても、体力が十分にチャージされている状態だとより楽しめる気がします。疲れていた頃は何かと否定的になっていました。外に出て、たとえば駅前で何かイベントをやっていても、「こんなもんどうせくだらないよ」みたいに考えていたのですが、今は「おっどれどれ……」みたいな気持ちになれる気がします。
パフォーマンスが上がった
僕の場合プログラミングが今のお仕事なんですが、攻撃的に休む戦略をとってから、自分の頭がよくなったような感覚があります。
スポーツやってる人だったら特にそうだと思いますが、毎日トレーニングを継続した状態よりも、普段トレーニングしてる人が何日かオフをとった後のパフォーマンスが一番高いです。
集中力が高まった
パフォーマンスとほぼ一緒なんですけど、集中力の高まりも感じます。ケアレスミスが減りますね。
日中の眠気がなくなった
疲れていた頃は、なんか平日の日中でもうっすら眠くて、なんなら朝起きたときにもうちょっと眠いみたいな状態だったんですが、最近はそれがほとんどなくなりました。
まとめ
・短期集中型はバーンアウトのリスクなどがあり、オススメしない・長期的に安定したパフォーマンスを出すためには休むことが大事・僕は「攻撃的に休む」戦略を今年試して、今のところいい感じ
(了)