個人ブログは死ぬのか

飲食店がチェーン店ばっかになったみたいに、インターネットも淘汰が進むのかもしれない。

どういう状況なのか

スマートフォンの普及で、インターネットの利用者は増えた。 しかもじっくり見る、というよりかは、 飲み会で店を探すので、○○駅の近くのよさげな居酒屋を探したいとか、 ポリウレタンで出来た素材は洗濯できるのかどうか調べるとか、 そういう用途で検索をかけることが増えたのだと思う。

短い時間でパッと知りたい情報が欲しい、というのはインターネットユーザー永遠の願望なので、 Google検索の上位にそういうニーズに近い、Yahoo知恵袋だとか、Naverまとめとかが並ぶのはまあいいだろう。 しかし、たとえば「手ぶら バーベキュー」とかで検索すると、 ある会社が運営しているバーベキューサイトが上位に出てくる。 このサイトが結構不自然で、全然聞いたことないのになぜかGoogle検索の1ページ目に出てくる。 (全然口コミもない)

執念深く調べて見ると、不自然にそのサイトにリンクを貼ったページが出てくる。 一見個人運営を装ってはいるけれど、 「手ぶらでバーベキュー大好きブログ」 みたいな、やたら無機質なサイトで、運営会社が同じ都内のスポットをひたすらオススメしている。

これはおそらく完全にSEO対策で、 急造のサイトであっても、こんな風に被リンクがたくさんあれば、 Googleからすると、本当に急に人気が出て、言及数が増えたスポットと区別がつかない。

無論、Googleの方もSEO業者との戦いはしていて、 そういうサイトはページランクを下げるように色々アルゴリズムをいれていると聞いていたが、 ここ数年でもうGoogleの検索結果はだいぶ汚染されてきたなと感じる。 それだけSEO対策が向上した、とも言える。

DeNAとかは人雇ってゴミ記事量産しまくったりしたけれど、 もはやそこまでやれば、検索サイトからしたら手の打ちようがない気もする。 人間が見れば、「この記事は明らかに業者臭いな……」と思うけれど、 アルゴリズム的に判別しようとするとかなりしんどい。

質のいい情報を得ようとなると、なかなかGoogle検索だと厳しくなってきたな、という印象がある。

個人ブログは死ぬのか

個人ブログもプロブロガーみたいなひとたちがあらわれて、 また空気感も変わっていると思うけども、読むに値するもんはそんなないような印象がある。 (別に四十三庵が読む価値がある記事がたくさんあるとは言わないけども)   自分を表現する場としての、個人ブログはもう終わりつつあるのかなという気が僕はしている。 仲がいい人間に、自分の思考や経験をばらまくツールならば、SNSでよいし、 不特定多数にそれがやりたいなら、それぞれのジャンルに応じたサイトでやる、 たとえば食べログのレビューを書くとか、Yahoo!知恵袋の回答を書くとか、 そういう風にシフトしていくのかなあという気がしている。 もちろん有名人のアメブロとかは残ると思うけども、一般人がなんか書いたのを一般人が読むみたいなんはなくなってくのではないか。

そのうち検索にもヒットしなくなって、書き手もいなくなる。 「昔はおじさんもブログとか書いてたんだよ」 「ブログって何?」 「自分が思ってることとかを書いて、インターネットに公開するんだ」 「へえ、それって誰が読むの? 友達?」 「いや、知らない人」 「へえ〜。知らない人が、たまたま検索エンジンでヒットした、知らない人の文章を読んで、何か情報を得たり、コメントを残したり、トラックバックで言及したりするのって、なんだか不思議」 「そうだね」 「楽しかった?」 「うん。とても楽しかったよ」 「それならよかったんじゃない? 今は何も残っていないけれど、きっと誰かの人生に、ほんのわずかでも影響を与えたんだもの」 「そうだね。そう思う」

昔はインターネットに公開したら一生残るなんて言われたが、実際は情報の海にどんどん消えていく。

(了)